新古典派経済学が完全競争モデルを最も効率的な経済システムとして理想化してきたのに対し,理想的なモデルの存在を疑問視する考え方が強まってきた。絶対的にすぐれたモデルは本来存在せず,多様なシステムが共存し,競争することがより大きな経済利益をもたらすという考え方である。比較制度分析は,そうした経済利益の構造と前提条件を経済学の分野で確立された普遍的な手法を用いて解明する目的で生まれた。例えば,ゲームの理論などを用いて,日本と米国の経済システムの違いを明らかにすることなどが期待されている。